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声帯削減とか声帯の伸展とかってなんぞ?

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2013年2月8日

声帯削減とか声帯の伸展とかってなんぞ?

最近よく話題になっている声帯削減説(ジップアップ)や、声帯伸展について書いてみます。この辺りは本当に情報が錯乱しているという印象を受けます。今回はちょっと専門的なお話になりそうです。

声帯削減ってなんぞ?

高音を発声するにあたり、声帯が前の方からチャックのように閉まっていき、振動部分が短くなることで高音が出るという説です。一説では1/3程の削減がミドルボイス、2/3程の削減がヘッドボイスと言われています。ジップアップとも言われます。

この声帯削減説、一昔前に結構流行った説なのですが科学的には一切証明されていません。それどころか批判意見が結構あり、今日ではあまり支持されていない印象を持ちます。

地声と裏声

地声と裏声については未だによくわかっていない部分があります。ただし、現時点で地声は声帯の全部が振動し、裏声は、声帯の縁だけが振動することはわかっています。

↑これが地声で、

↑これが裏声発声時の声帯の動きです。

地声の状態では声帯は全域が振動していますが、高音を出そうとして声帯が引き伸ばされていくと、あるポイントを堺に声帯の内側の部分「甲状披裂筋(声唇)」が緩み振動しなくなります。そして声帯の縁のみが振動するようになります。これが地声と裏声です。そしてこのあるポイントというのが換声点として現れます。声帯の全域が振動する地声と、声帯の縁のみが振動する裏声では、声帯の使われ方が異なるため、別の声区として区別することができます。

くれぐれも押さえておいていただきたいのは、声帯は振動部が短くなることで高音が出るのではなく、輪状甲状筋の働きにより声帯が引き伸ばされ、ピンと強く張られた状態で振動することで高音が出るということです。ゴムを伸ばして弾くと音が高くなるのと同じ原理です。

声帯削減説を否定する意見を挙げるとすれば、もし我々が声帯の振動部を自在に短くすることができるのであれば、なぜ高音に行けば行くほど輪状甲状筋(声帯をピンと張るための筋肉)を強く働かせる必要があるのか、ということです。もし本当に声帯の閉鎖筋の力で声帯の振動部を短くできるのであれば、わざわざ無理して輪状甲状筋を使って声帯を伸ばさずとも、ちょこっと閉鎖すれば高音を出す事ができます。

付け加えますと、声帯の閉鎖筋の力で声帯の振動部が短くなるのであれば、声帯を閉鎖させたら音程が変わるということです。しかしファルセット、ヘッドボイス、ミドルボイスと声帯の閉鎖具合を変化させても音程が変わる様子はありません。

もう一つ付け加えますと、声帯を1/3削減するのと2/3削減するのは、使う筋肉は同じなので労力はさほど変わらないかと思います。言ってしまえば1/3削減するのと5/4削減するのも難しくはないかと思います。しかしなぜ我々は3~4オクターブくらいしか出せないのでしょうか。限られた人にしかホイッスルボイスは出せません。なぜ2/3削減するのは簡単なのに、それ以上の削減は限られた人にしかできないのでしょうか。

上記を踏まえて、私もとい、れみぼいすの立場としては、声帯削減説は否定派です。

ファルセット、ミドルボイス、そしてヘッドボイスとは

もう一度この絵を載せますがこれが裏声の発声です。では同じ裏声でも、ファルセット、ヘッドボイス、ミドルボイスの3種類があるのはなぜでしょうか。

それは声帯の閉鎖具合によって変わる声に誰かが名前を付けただけの話です。声帯が開いて息漏れしている裏声をファルセット、より閉鎖し息漏れがなくなった柔らかい裏声をヘッドボイス、より閉鎖し芯を得た裏声をミドルボイスと誰かが名付けただけです。

高音はどのように鍛えられていくか

万人に当てはまるわけではありませんが、最初は、

チェストボイス(地声)→ファルセット(息漏れした裏声)となっている場合がほとんどです。そこからヘッドボイスを覚える事で、

チェストボイス(地声)→ヘッドボイス(息漏れのない裏声)へと繋がります。更にそこからミドルボイス(芯のある裏声)を覚える事で、

チェストボイス(地声)→ミドルボイス(芯のある裏声)→(流派によってはここからヘッドボイス)へと繋がるようになります。

高音開発といっても、単に裏声を閉鎖できるように練習するだけの話なのかもしれませんね。

声帯の伸展ってなんぞ?

最近何かと話題になっている声帯の伸展ですが、補足説明をしたいと思います。声帯は高音を出そうとすると、輪状甲状筋の働きで引き伸ばされていきます。

この声帯の伸展は、高音を出すために必要になりますが、声質(ヘッドやミドルなど)を変えるためには必要ありません。同じ音程でもファルセット、ヘッドボイス、ミドルボイスと声を変える事はできます。例えばミドルボイスを習得するために声帯の伸展を練習するのはナンセンスです。

そして、裏声の低音から高音までちゃんと出せるのであれば、フェイクなどの細かい動きを突き詰めていく以外は、これ以上声帯の伸展を練習する必要はありません。あとは裏声をどう変化させていくかに重点を置いて練習してみてください。

最後に

ここまで強く書いておきながらあれですが、今後研究が進む上で、もしかすると声帯削減説が正しいと証明されることや、私の主張が間違いだったという可能性もあるという事だけは押さえておいて欲しいです。マゼランが世界一周を達成する前は、地球は平面だという説が堂々とまかり通っていたのです。新しい分野の研究なんてそんなものです。


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