チェストボイスのポイント1つ目は、喉を開くことです。

これはチェストボイスのみではなく、この先ヘッドボイス、ミドルボイスを習得するにあたっても重要な要素でもあります。まずは見本を聞いてみてください。

この見本では、最初の2回は喉が絞まった発声、次の2回は喉を開いた発声になっています。最初の2回の発声は、苦しそうな声に聞こえるのがわかるでしょうか。この発声のことを、「喉絞め発声」といいます。

練習したての頃は、だいたい喉絞め発声しかできない人が多いです。喉の開き方を覚えることで、喉絞め発声からオペラのように開いた発声まで自由に変化させることができるようになります。

目次

喉の開き方

喉を開くには、

  • 軟口蓋を上げる事
  • 喉仏を下げる事

が大事です。これらを行う事により、口のちょうど奥にある咽頭の空洞が広がり、声の共鳴を得る事ができます。咽頭の共鳴を得ると、ふくらみのある声になります。

イメージ的には、口の奥が上下に引っ張られる感じです。

軟口蓋の位置を確かめる

まずは軟口蓋の位置を確かめてみましょう。

軟口蓋は、のどちんこが付いている、上顎の柔らかい場所です。上顎は手前側は硬いかと思いますが、奥の方は柔らかくなっております。その部分は、筋肉を上手く使えば上に引き上げる事ができます。

鏡を用意して、口を縦に大きく開けてのどちんこを見てみましょう。

あくびのようなイメージで口の奥を上下に広げると、この部分が上がるのを確認できます。

喉仏の位置を確かめる

次は、喉仏の位置を確かめてみましょう。

あごの下に人差し指を置き、なでるように下げていきます。すると、Vの形をした軟骨を見つけられるかと思います。そこが喉仏です。

女性の場合は男性に比べて喉仏の位置がわかりづらいです。喉をよく触ると横に2本の切れ目が入っていますが、上の方の切れ目の方が喉仏です。

見つけたら、つばを飲み込んでみましょう。喉仏が上がるはずです。

大事なのは、喉を開くと喉仏が下がるということです。

高音に差し掛かかれば喉仏が上がってきます。それに反するように喉仏を下げる筋肉が強まっていかなければ、喉絞め発声になり、苦しく聴こえてしまいます。

高音でもなるべく喉仏を下げたまま維持できるように練習しましょう。

※高音では喉仏が上がるのは仕方ないです。要は喉仏を下げる筋肉が働かないと、喉に力が入りガチガチに固まってしまいますので、そこだけ注意してください。

喉を開く練習

口を縦に開き、あくびのような感じで口の奥(咽頭腔)を上下にガバっと開く練習をしてみましょう。この状態で発声すると、オペラのような感じで、声がこもるはずです。

上手く喉が開けると、喉仏も下がります。


喉を開いまま、バッバッバッと(要は口をパクパクさせる)練習をしてみましょう。口の奥に声が響く空間を作る感じで発声していきます。

できるだけ声をこもらせるのがポイントで、この状態を保ったまま口を楽にパクパクできるようにしましょう。

次に、声をこもらせたまま「マーーー↑」とお腹の力を加えつつ地声の高音域に移行していきます。地声の場合、高音に行けば行く程お腹の力を強めていけばより安定します。

高音域になれば喉仏が上がってきますが、しっかりと喉を開き、ふくらみのある声をキープできるように練習してください。

声が潰れて苦しく聴こえるということは、喉が絞まっているということです。そうならないようにしましょう。


違う練習方法として、「オー」または「ヘーイ」と地声高音域まで上げる練習をご紹介します。

これら2つの練習をして、低音域から高音域まで喉を開いた発声を癖付けていきましょう。

喉の開き加減のコントロール

喉を開いた発声を覚えたら、今度は喉を絞めた発声と、喉を開いた発声の両極端の発声を区別して練習してみましょう。

この間の微妙な調整で、声質が自由に変化します。最終的に自分のさじ加減で声質をコントロールできるようになれば完璧です。