ボイトレは高音発声だけではなく、使える声のバリエーションを増やすという役割も果たします。今日は声のバリエーションのお話をしようと思います。
声といっても色々ある
声といっても実に色々な声があります。同じ音の高さであっても、様々な声が出せます。例えば、
- 息漏れした声
- オペラのようなこもった声
- がなったような歪んだ声
- 喉が絞まったアニメに使われるような声
などなどです。これらが使えることで、歌の表現の幅が広がっていきます。
声質を変える6つの要素
声質を変える要素は、実はそう多くはありません。ざっと挙げても6つの項目でほとんど説明できます。
- 息の強さ
- 声の高さ
- 声帯の閉じ具合
- 喉の開き具合
- 口の開き具合
- 鼻にかけるかどうか
そもそも声は、肺から息が送られ、声帯で音になり、そこから体の共鳴腔で大きくなり、口や舌の形で母音が作られ発声されます。4つのステップしかなく、仕組み自体は意外と単純なものです。一つ一つ見ていきましょう。
1. 息の強さ
肺から送られる息の強さです。お腹で強さを調節します。基本的に、息は強い方が大声が出ますが、あまりにも強い息の量を声帯にぶつけると、声帯が耐えられなくなってすぐに声が枯れてしまいます。
2. 声の高さ
声帯をピンと張る事で、声の高さを調節することができます。高くなると裏声に切り替わります。
3. 声帯の閉じ具合
声帯を閉じれば閉じる程、芯の通った声になります。逆に開けば開く程息が漏れた声になります。上手く声帯の開き具合を調節して、息を当てると歪んだ声になります。
4. 喉の開き具合
喉を開けばオペラのような厚みのある声になり、逆に閉めればつぶれた平たい声になります。口の奥の咽頭腔というスペースをどれだけ広く取るかで決まります。
5. 口の開き具合
口の開き具合で母音が形成されます。もちろん口の開き具合だけではなく、舌の位置や、唇の開け閉めなんかも加わり、子音も形成されます。
6. 鼻にかけるかどうか
最後に鼻にかけることで、鼻腔に共鳴し鼻声になります。余談ですがカントリーミュージックで見られる、鼻にかけて歌う歌い方をホンキートンク唱法と言うらしいですね。
6項目を組み合わせて声を作る
上記の6項目を組み合わせることで色々な声を出せるようになります。ボイストレーニングは、これら6項目を自由に変えられるようにする練習でもあります。きちんと動かすことができ、自由に組み合わせると、無限に声を作る事ができるようになります。逆に、単調な声しか出せない場合、この6項目の何かが動かせない可能性があります。
もちろん歌だけではなく、普段の会話でも私たちはこの6項目を変えて声を作ります。
- 遠くの人に呼びかけるときの声
- 耳元でささやくときの声
- 怒ったときの声
- 異性を口説くときの声
- 可愛い声
などなどです。歌は、むしろこれらの声に音楽的な要素(音程やビブラートなど)を加えただけです。
最後に
声は感情と一緒に作られるものです。しかし、感情が伴っても喉の筋肉が動かなければ声に感情はこもりません。だからこそボイストレーニングが必要です。ちゃんと筋肉が発達してくれば、感情が伴えば声も反応してくれるようになります。心の琴線に触れるような歌声を奏でられるように練習していきましょう。
質問ですが、声帯閉鎖は意識的に閉めることは可能なのですか?
可能です。
普段息をしている時は声帯は開いていて、声を出そうとすると声帯を閉じる筋肉が働き、閉じます。
意図的にこれらの開閉を行う事は可能であり、感情表現豊かな歌を歌うためには必須になります。