前回の記事では、音と音の開き具合について触れましたが、今回は和音について触れてみます。今回は、音が3つからなる和音を覚えてみましょう。

和音って何?

特定の複数の音が重なることで、調和が取れた心地良い響きをもたらします。それぞれの音の重なりには、名前が付けられています。和音は、英語ではコードと言います。

聞いていて調和が取れた和音は、協和音と呼ばれます。そして、あまり変な音を重ねて響かせると、音同士がうねった不安定な和音になります。これは不協和音と呼ばれます。ちょっと聞いてみましょう。

最初に鳴らした音はドミソ(協和音)で、次に鳴らした音はド♯ドレ(不協和音)です。同じ3つの和音なのに、前者は綺麗に重なって聞こえ、後者は音同士の波がうねって聞こえるはずです。

心地よく聞こえる和音というのは、音の波形を見てみると、波が綺麗に重なるポイントがあります。逆に不協和音は、音同士の波がバラバラで、音同士がうねります。

波形を確認しながら調律をする動画があったので見てみてください。音の重なりや、うねりのイメージがわかると思います。

構成音が3つの和音5つ

音が3つからなる和音を見てみましょう。ここからは英語名で記載していきます。

  • メジャー・トライアド(Major triad)
  • マイナー・トライアド(Minor triad)
  • オーグメンテッド・トライアド(Augmented triad)
  • ディミニッシュド・トライアド(Diminished triad)
  • サスペンデッド・トライアド(Suspended triad)

音が3つから構成される和音は「トライアド」と言います。トライアドは5種類しかないため、この際全部覚えてしまいましょう!今回はトライアドに絞って解説していきます。

メジャー・トライアド(Major triad)

まずはメジャー・トライアドから確認してみましょう。Cメジャー・トライアドの場合はド、ミ、ソの3つの音から構成されます。これを専門的に言うと、ルート、長三度、完全五度の三つの音となります。ここで言うルートとは、基準の音のことです。例えばルートがドの音だと、ドから長三度、完全五度の和音が鳴ればCメジャー・トライアドとなります。

また、コードは音の順番が入れ替わっても良いとされています。一番低い音がルートである「ド」である必要はなく、ソから始まるような形(ソドミ)でも、ミから始まるような形(ミソド)でも、Cメジャー・トライアドです。音の順番を入れ替える事を、転回と言います。

コードの表記の仕方は、そのまんまルートの文字を書きます。Cメジャー・コードの場合は、Cと書きます。

マイナー・トライアド(Minor triad)

お次はマイナー・トライアドです。Cマイナー・トライアドの場合は、ド♭ミソの3つの音で構成されます。Cメジャー・トライアドと比べて、真ん中の音が半音下がっているのがわかりますね。

専門的には、ルート、短三度、完全五度からなる和音となります。メジャー・トライアドが長三度だったのに対して、こちらは短三度になっています。

表記の仕方は、ルートコードに、小文字の「m」を書くのが一般的です。例えばCマイナー・コードの場合は、Cmと書きます。

オーグメンテッド・トライアド(Augmented triad)

お次は、オーグメンテッド・トライアドです。日本では、「ed」が抜けて、単純にオーグメント(オーギュメント)と呼ばれます。ルートがCの場合は、ドミ♯ソの音から構成されます。

専門的には、ルート、長三度、増五度となります。この増五度とは、完全五度から半音上げた音を指します。本来オーグメントとは、増という意味です。増五度は、英語で「augmented fifth」と書きます。

表記の仕方は、ルートコードに、「aug」と記載するのが一般的です。例えばCオーグメント(オーグメンテッド)・コードの場合は、Caugと書きます。

ディミニッシュド・トライアド(Diminished triad)

お次は、ディミニッシュド・トライアドです。日本では同じく「ed」が抜けて、ディミニッシュと呼ばれます。ルートがCの場合は、ド♭ミ♭ソの音から構成されます。

専門的には、ルート、短三度、減五度から構成されます。この減五度とは、完全五度から半音下げた音を指します。本来ディミニッシュとは、減の意味です。減五度は、英語では「diminished fifth」と言います。

この和音は、マイナーフラットファイブと呼ばれる事もあります。音の構成音が3つの場合は、ディミニッシュもマイナーフラットファイブも同じ音です。しかし音が4つになると、ディミニッシュの場合は減七度が入ったディミニッシュド・セブンスとなり、マイナーフラットファイブの場合は短七度が入った、マイナーセブンス・フラットファイブ(ハーフディミニッシュド・セブンス)となり、別の音になります。ちょっと難しいですが、本来は別の和音だという事を覚えておきましょう。

表記の仕方は、ルートコードに、dimと付けるのが一般的です。マイナーフラットファイブにする場合は、m-5と書きます。ルートがCの場合は、Cdim、もしくはCm-5となります。

サスペンデッド・トライアド(Suspended triad)

最後はサスペンデッド・トライアドです。これはちょっと特殊な和音で、和音の真ん中の音が長二度、もしくは完全四度にずれたものです。三和音の内の真ん中の音は、今まで長三度(メジャー)か、短三度(マイナー)でしかありませんでしたが、そこをあえて鳴らさない事で、どっちとも言えない開放的な音になります。

真ん中の音を長二度にずらした場合はサスペンデッド・セカンド(略してサスツー)、完全四度にずらした場合はサスペンデッド・フォース(略してサスフォー)となります。表記は、それぞれルート+sus2とsus4になります。Csus2だとドレソ、Csus4だとドファソになります。

まとめ

今回は音が3つからなる、トライアドについて解説してみました。トライアドは5つ(sus2とsus4に分けると6つ)しかないので覚えられますね。音を聞いて何の和音かわかるようになれば大したものです!

次回は音が4つからなる、セブンスについて解説してみようと思います。