換声点(地声と裏声の境目のこと)付近のメロディは、地声裏声がころころ切り替わることになります。こういういやらしいメロディは、何の対策もなしに歌うと必ずぶれてしまいます。

ここでは、換声点付近のメロディを上手く歌うための対策方法を書きます。

換声点付近のメロディを歌う際のルール

基本的な事なのですが、まずこのルールを頭に入れておきましょう。

  1. 地声を張り上げれば張り上げる程、切り替えの安定化が難しくなる
  2. 地声と裏声が素早く何回も切り替われば切り替わる程、メロディの安定化が難しくなる
  3. 換声点はある程度幅を持たせる事ができる

1. 地声を張り上げれば張り上げる程、切り替えの安定化が難しくなる

絶対条件です。地声張り上げから裏声に行くのは、力を急に抜く必要があり、また裏声から地声張り上げに戻す際は、急に力を入れないといけないため、安定化が難しくなります。もし地声張り上げと裏声が連続して交互に切り替わるようなフレーズになった場合、安定化させることはかなり難しくなります(何より非常に疲れます)。

2. 地声と裏声が素早く何回も切り替われば切り替わる程、メロディの安定化が難しくなる

例えば、一度に地声、裏声、地声、裏声と連続で来るようなメロディがあった場合は、安定化が難しくなります。テンポが早いと尚更難易度は上がります。

3. 換声点はある程度幅を持たせる事ができる

切り替えポイントは、早めに裏声に切り替えたり、逆に地声を引っ張ってから裏声に切り替えたりと、ある程度幅を持たせる事ができます。これを上手く使うのが換声点付近のフレージングを最適化するポイントになります。

換声点付近のフレージングの最適化例

わかりやすいように、ドの音を換声点として説明します。

前提条件:
ドの音が地声で押しきれるぎりぎりのラインで、それ以降は裏声で歌う必要がある
ドの音は裏声にしても歌える

■ メロディがミレドシラー(上の)ソーの場合:

ミレまでは必ず裏声で歌わなければ行けません。ただし次のドの音は、地声でも裏声でもどちらでもいけます。攻略方法としては、

  1. (裏声)ミレ(地声に切り替え)ドシラー(裏声に切り替え)ソー↑
  2. (裏声)ミレド(地声に切り替え)シラー(裏声に切り替え)ソー↑

といった感じになります。どこで切り替えるかは、曲の雰囲気によって変える事ができます。

■ メロディがレドレドミレドーの場合:

もしドの音を地声にした場合、地声裏声を交互に切り替える事になってしまうため、この場合は

  1. (裏声)レドレドミレドー
  2. (裏声)レドレドミレ(地声)ドー

といった感じになります。もし

(裏声)レ(地声)ド(裏声)レ(地声)ド(裏声)ミレ(地声)ドー

なんて歌い方をした際には、死に物狂いで練習しないと安定化は厳しいです。

■ メロディがレドシレドシレーの場合:

レは必ず裏声じゃないと出ませんのでレは裏声ですが、ドとシの部分をどうするかが悩みどころですね。

  1. (裏声)レドシレドシレドシレー
  2. (裏声)レ(地声)ドシ(裏声)レ(地声)ドシ(裏声)レ(地声)ドシ(裏声)レー
  3. (裏声)レド(地声)シ(裏声)レド(地声)シ(裏声)レド(地声)シ(裏声)レー

これらのどれかを使うことになります。難易度順には、2、3、1の順に難しくなります。やはり1のように、切り替えがなくなれば格段に安定しますが、裏声を下に引っ張るとボーカルが少し弱くなりがちです。

2と3は、ドの音を地声でいくか裏声でいくかの違いですが、基本的に張り上げ(力ま)ない方が安定するため、3の方が難易度は低くなります。しかし、1と3を比べたら、1の方がダントツに歌いやすいです。

もしこれがとんでもなく速いフレーズだったら、ほぼ1一択じゃないと安定化できません。

上手く歌えなかったフレーズを見直す

自分の歌を録音して聴いてみた際に、地声裏声の切り替えが簡単にできたフレーズと、できなかったフレーズがあると思います。

上手くできなかったフレーズに注目して、最適化していきましょう。大抵は無理に切り替え回数を増やしていたり、本来裏声で歌うべきところを地声を張り上げていたり(無理に地声で高い音を出そうとしていて音が外れてしまっている)といった原因が主です。

換声点付近を上手く歌えないのは、技術うんぬんもありますが、実はそもそもの切り替えポイントの最適化ができていないため上手く歌えていない事も多々あります。

上手く歌えなかったフレーズは、よく考えて対策していきましょう。