※ミックスボイスの定義は人によって様々ですが、当サイトでは声帯を閉鎖した強く振動する裏声の事を指します。「ミドルボイス」と「ミックスボイス」は同じ意味で使っています。
ミックスボイスの低音域の発声は難しく、悩んでいる人も沢山いらっしゃると思います。
そこで今回はミックスボイスの低音に特化した特集記事を書こうと思います。
目次
ミックスボイス低音域の発声は難しい
初めに言っておきますが、裏声低音域をミックスボイスで出すのは難しいです。
また上手く発声できるようになったとしても、「声量」や「安定性」の問題、そして実践のフレーズに合わせた発声の最適化(地声で押し切るか、どこで裏声に切り替えるか、ミックスボイスを使うか、ヘッドボイスで行くかなどの考察)も大事になってきます。
発声において大事な心構えとして、「自分にとって何が簡単に発声できて、何が難しくて、何が不可能なのか」を自分なりに研究していくことです。
なるべく難しい発声をしないようにすることで、歌声を安定させることができます。難しい発声にあえて挑戦しなくても良い、というか挑戦しない方が結果上手く聴こえるという意識は予め持っておくと良いと思います。
ミックスボイス低音域の発声におけるよくある悩み
ミックスボイス低音発声において、よくある悩みと、その解決方法を載せていきたいと思います。
正直発声の悩みは尽きないと思いますが、ここで何かしらの糸口が見つかれば幸いです。
よくある悩み例:
- ミックスボイス低音域の声量が出せない、弱い
- ミックスボイス低音域が息漏れしてしまう(ファルセットになって)しまう
- ミックスボイス低音域がガラガラしてしまう
- ミックスボイス低音域がきつい、地声に裏返る
悩み①: ミックスボイス低音域の声量が出せない、弱い
ミックスボイス低音は、地声張り上げと比べると声量が出せず、弱くなってしまうのは仕方のないことです。
そして地声の張り上げと同じような感覚でミックスボイス低音の声量を増やそうとすると、不安定になりうまくいきません。
そこで、「ミックスボイス低音域は果たしてどこまでなら声量を上げることができるのか」という部分を自分なりに研究してみる必要があります。
加えて足りない声量の補い方ですが、
- 声帯の閉鎖と共鳴で声量を増やせないか
- マイクの調整で何とかならないか
- 地声で押しきれるメロディラインか
というのも考えてみましょう。
悩み②: ミックスボイス低音域が息漏れしてしまう(ファルセットになって)しまう
ミックスボイス低音域で息漏れしてしまう(つまりファルセットになってしまう)人によくあるのが、「小声になると声帯の閉鎖が上手くできない」というところです。
よって、小声で声帯閉鎖の練習をしてみることをおすすめします。最初は地声からでも構いません。
これがちゃんとできるようになったら、今度はミックスボイス中音域から少しずつ声量を小さく、かつ音程を低くしていってみましょう。
余計な力を抜きつつ、息漏れさせないようにと難易度は高いと思います。
スケールを使って小声で一定の閉鎖を保ったまま発声する練習してみるのも良いと思います。
悩み③: ミックスボイス低音域がガラガラしてしまう
ミックスボイス低音域でガラガラしてしまう原因としては、上で書いた息漏れしまうのと同じように声帯を上手く合わせることができていないことが挙げられます。
よって声帯の閉鎖をコントロールする練習を続けていきましょう。
その中でガラガラせず安定して声が出るポイントを探し、ピンポイントで発声できるようになれば良いと思います。試行錯誤あるのみ。
ただ、中には生まれつきハスキーな声を持っておりどうしても上手く合わせられない人もいます。生まれつきハスキーで、声帯の開閉運動は上手くできるのにどうしてもガラガラしてしまう場合は、見限るのも大事です。
それと、数曲歌っただけで声が枯れてしまう場合はおそらく声帯の閉鎖が強すぎる可能性があります。
もう少し閉鎖を緩めて柔らかく発声してみましょう。
悩み④: ミックスボイス低音域がきつい、地声に裏返る
ミックスボイス低音域の発声がきつかったり、地声に裏返ってしまう場合は、おそらくその音域自体が低すぎると思います。
まず問題のフレーズを地声張り上げで押しきれるかどうか試してみましょう。それがきついならミックスボイスを使わないといけなくなりますが、なるべく声量を落とすというのが楽に発声するための一つのキーポイントになると思います。
次にフレーズの中でどこまで地声で行き、どこから裏声で行くかを考え、決めて、一番楽に切り替えができるポイントを探しましょう。最初は歌詞を全部「マ」とかに置き換えて探していくと良いと思います。
同じ音をミックスボイス低音と地声高音で発声したりして、換声点(地声と裏声の境目)付近の発声と切り替えに慣れるのも大事です。
ミックスボイス低音域の練習方法、鍛え方
最後にミックスボイス低音域の練習方法や鍛え方について記載しておきます。
結論から言うと、発声練習においては特段新しいことをする必要はありません。
- 喉の開きのコントロール
- 声帯の閉鎖のコントロール
- 地声と裏声の切り替え練習
この3つは、どの発声においても基礎の部分になってくるため、しっかり練習して鍛えていく必要があると思います。
また、
- 声量と閉鎖を一定に保ったまま、話し声くらいの声量で地声と裏声のスケール練習(声量を増やしすぎない)
- リップロール/タングトリルで地声と裏声のスケール練習
も地声と裏声の切り替えの良い練習になると思います。
そしてミックスボイス低音域特有の最大の特徴としては、「声量を一定に抑えないと発声が安定しない」という部分になると思います。
発声を安定させるための声量のバランス感覚を練習で身につけるために、どの程度なら声量を上げることが可能なのかの研究をしてみると良いと思います。
試行錯誤によって身体に染み付いたバランス感覚は、発声においては武器になります。
最後にフレーズ単体の攻略も重要で、地声と裏声の境目でどうしても上手く発声できないフレーズに関しては、
- 地声で押しきることはできないか
- どこまでを地声で発声し、どこから裏声に切り替えるべきか
- 難しい、きつい場合はメロディラインやキーそのものを変えることはできないか
といった考察も必要になります。
何事も楽に発声できるに越したことはなく、楽に発声できればその分歌声は安定し、上手く聴こえるということも覚えておくと良いと思います。
この記事が何かの役に立てば幸いです。