抑揚とは、声の調子を上げ下げすることです。
例えば私たちは普段会話する時に、声の音程を上げたり下げたりしますし、声を強めたり弱めたりします。 または、思いにふけっているときはハァーっと息漏れした声になりますし、遠くの人に呼びかける時は強い声を出します。
このような、普段話す声の調子の変化や、状況などに応じた声質の変化が歌に表れることで、抑揚というものになります。 逆にもしこれらの声の調子が一定になりますと、「棒読み」といわれる、単調な声になってしまいます。
抑揚をつけて歌う事で、歌に表情が出るようになります。
目次
抑揚の種類
抑揚を細かく見ると、以下の2種類に分類できます。
- 声質を変える抑揚
- 音量を変える抑揚
歌の場合はこの両方が複雑に絡み合う事になります。
1. 声質を変える抑揚
歌では、曲調、歌詞、ジャンルなどに合わせて声質が変化していきます。
例えば心の中で愛しい人を想っている歌詞では、繊細な表現でため息を付くような声で歌われる事がありますし、 逆に心の苦痛や叫びを表現したいときは、シャウトなどが使われる事があります。
使える声の種類が増えれば増えるほど、歌詞の表現に幅が出てきます。
2. 音量を変える抑揚
声を小さく出したり、声を大きく出したりすることで付けられる抑揚です。
これは、曲全体で抑揚が付けられる事もありますし、フレーズごとに抑揚が付けられる事もあります。
曲全体で付けられる抑揚の場合は、例えば最初は弱く歌って、サビに向かって徐々に盛り上がっていくといった事が挙げられます。
そしてメロディごとの抑揚が付けられる場合は、フレーズごとに山を作る感じで付けることになります。
抑揚の見本
歌の抑揚には、当然音楽的なものが含まれます。
楽器の場合は、歌詞がない分抑揚をより明確にイメージしやすくなります。
歌手によって抑揚の付け方が若干違う場合がありますので、色々な歌手の見本を聴いてみることをおすすめします。
声量の変化と声帯の閉じ具合の変化
抑揚は、声量(息)の変化だけで付けられるわけではなく、大抵は声帯の閉じ具合とセットで付けられることが多いです。
- 弱いところで息漏れさせ、強いところで声帯を閉じて張る
これらをバランス良く入れることで繊細なボーカルラインになっていきます。
抑揚に必要な練習
- クレッシェンド/デクレッシェンドの練習
- 声帯の開け閉めの練習
クレッシェンドはだんだん大きく、デクレッシェンドはだんだん小さくです。ロングトーンから声を大きくしたり、小さくしたりの練習をしてみましょう。
加えて、声帯の開け閉めも練習しましょう。
色々な歌手の抑揚の付け方を聴いてみる
抑揚の付け方はとても奥深く、とても文章で説明できるものではありません。
一番の教科書は、上手い歌手の歌い方です。 色々な曲を聴いてみて、歌手がどのように抑揚を付けているかをよく聴いてみてください。
特に注目すべきは、
- 曲調によって抑揚がどう変わるか
- 歌詞によって抑揚がどう変わるか
このあたりです。
上手い歌手であれば、それぞれの曲や場面によって抑揚の付け方が変化するはずです。
もちろん機械的な表現をするために、あえて抑揚を付けないで歌う方法もあります。 抑揚は付ける程良いというわけではなく、何を表現したいかによってもさじ加減が変わってきます。
曲によって、最高の表現ができるように練習していきましょう。