マイクはボーカルが声を機材に入力するための装置ですが、使い方次第で声の入り方が変わります。
ここではマイクの特徴をおさらいし、正しい声の入力方法を説明していきます。
目次
マイクの指向性
まずはマイクの指向性について説明します。
指向性とは、簡単に言うとマイクが音を集めやすい方向があるかないかです。単純に分けると、
- 単一指向性マイク
- 無指向性マイク
があります。
単一指向性マイク
単一指向性マイクは、正面からの音をよく拾いますが、他方から来る音はあまり拾いません。
カラオケやライブ等でよく使われるため、歌が大好きな皆様にとっては、一番馴染みのあるマイクになります。
無指向性マイク
無指向性マイクは、全方向からの音を均等に拾います。
主にインタビューや会議等で、周囲の音をすべて拾いたい場合に使われるマイクです。
ボーカルなら単一指向性マイク
ライブやカラオケでは、マイクが周囲の音を拾ってしまう事を極力避けなければなりません。
もしマイクが無指向性で、ボーカルに関係のない音を沢山拾ってしまうと、それだけボーカルの音質が低下しますし、その音がまたスピーカーに流れてしまい、それをマイクが拾い…と繰り返されていき、 キーンという音が鳴る、ハウリングという現象が起きやすくなります。
そうならないためにも、ボーカルがライブで使うマイクは単一指向性マイクになります。
マイクを持つ角度
単一指向性マイクを扱う場合、音は一方向からしか拾わないので、真っ直ぐに声を向けなければなりません。
よくマイクを斜めの角度にして持ったり、アナウンサーのように上に向ける人がいますが、 単一指向性マイクでこれをやってしまうと、全然声が入らなくなります。
このように持った場合は、全然声が入らなくなりますので注意しましょう。
マイクの持ち方
持ち方は特段気にしなくても良いのですが、注意点としては2つ程あります。
- マイクの先は握らないようにする
- ワイヤレスマイクの場合、しっぽの部分を握らないようにする
1. マイクの先は握らないようにする
先っぽのグリルの部分を握ってしまうと、音がこもり、ハウリングを起こしやすくなります。 入力される声の音質も悪くなります。
シビアに言うと軽く指をかけるのも本当はアウトです。
テレビを見るとプロでもよくグリルの部分を握って歌っている方がいらっしゃいますが、これはプロのエンジニアがちゃんと対処しているからこそできる芸当です。
特にカラオケなど、PAが付かない場合は絶対に真似してはいけません。
2. ワイヤレスマイクの場合、しっぽの部分を握らないようにする
最近のカラオケには無線で飛ばすワイヤレスマイクが増えてきました。
ワイヤレスマイクの場合は、しっぽの部分が電波を送信する部分になります。そこを握ってしまうと、声が入らなくなったり、シューっという音が入るので避けましょう。
無難に真ん中のあたりを持つのが良いです。
マイクを握る手の形
顔に近いので見られますが、歌う本人はあまり意識しないことが多い部分です。
あまりにも変な握り方をしてしまうと違和感がありますが、逆にあえて変わった持ち方をして個性を出すこともできます。
基本的にはグーで握って持つのが良いかと思われます。
マイクと口の距離
カラオケやライブ等で使われるダイナミックマイクを扱う場合、マイクの特性を知っておく必要があります。
- マイクと口の距離が離れるにつれ、入力される信号が減る
- マイクを近づけると、低音が増す(近接効果)
1. マイクと口の距離が離れるにつれ、入力される信号が減る
ダイナミックマイクの場合、マイクを口に近づければ近づける程声を拾うようになりますし、逆に離せば離す程、声を拾わなくなります。
バンド演奏時など、周りのノイズが多い場合はなるべくマイクを近づけて声を拾うようにします。
ただし、マイクと口を近づけすぎた場合は、息が直接マイクにあたり、マイクを吹いて「ボンボン」という音を出してしまう可能性が出てきます。 「吹かれ」とか、「ポップノイズ」と言います。
歌唱時にあまりにもボンボンと音がする場合は、破裂音を控えめにするよう矯正するか、マイクを少し離すと良いです。
レコーディング時には、ポップガードという付属品を付ける事でポップノイズが軽減されます。
2. マイクを近づけると、低音が増す(近接効果)
ボーカルが使う単一指向性マイクの場合、マイクを近づければ近づける程、低音が増幅されます。
つまりどの程度低音が欲しいかを、マイクの距離感で変えることができます。
PAが付く場合は、イコライザーという装置で低音部の調整をすることもできます。
カラオケには基本的にイコライザーはないので、距離で調整する必要があります。
最大の問題点は、マイクの低音部が入らないと声が入っていないと勘違いしてしまうことがあるということです。このあたりは耳が慣れるしかありません。
マイクを扱う際の注意点
マイクを扱う際には、いくつか注意点があります。
- マイクをコンコン叩かない/マイクを吹かない
- マイクをスピーカーに向けない
- マイクをスピーカーに近づかない
1. マイクをコンコン叩かない/マイクを吹かない
マイクをコンコン叩くと、振動がマイクに直に伝わり、非常に大きな低音が出て、最悪の場合アンプやスピーカーを壊してしまう恐れがあります。
また、マイクをフーッと吹いても同様に大きな音が出てしまい、機材にはあまり良くないです。
マイクのテストをする際になんとなく叩きたくなりますが、絶対にやめましょう。
2. マイクをスピーカーに向けない
マイクをスピーカーに向けると、スピーカーの音をマイクが拾ってしまい、 それがまたスピーカーから流れ、マイクが拾い…の連鎖になり、ハウリングが起きやすくなります。
同様にスピーカーに近づけば近づく程、スピーカーの音を拾いやすくなり、ハウリングの元となります。
スピーカーからは出来るだけ離れる方が良いです。
以上でマイクに関する解説はすべて終わりです。マイク1つの使い方で声が大きく変わりますので、参考にしていただければ幸いです。