参考文献:フレデリック フースラー著「うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ」
図は、喉頭の略図です。
上の甲状軟骨(こうじょうなんこつ)と、下の輪状軟骨(りんじょうなんこつ)の間にある赤線の部分に、輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)があります。
輪状甲状筋を働かせることで、声を出した時の音の高さを自由に変えることができます。歌手であれば真っ先に鍛えなければいけない筋肉でもあります。
声の高さが変わる原理
輪状甲状筋が働くと、図の矢印のような運動が加わります。この運動により、青で色塗られた披裂軟骨(ひれつなんこつ)が後ろに引かれます。
披裂軟骨は声帯とくっついておりますので、披裂軟骨が引かれるにつれ、声帯が張られることになります。 輪ゴムをピンと張って弾くと高い音が出るように、声帯もピンと張れば、その分高い声が出せます。
生まれ持った声帯の長さと音域の関係
人それぞれ声の高さが違うのは、生まれ持った声帯の長さと関係があります。
元々持っている声帯が長ければ、低い声を中心に出せるようになり、逆に元々持っている声帯が短ければ、高い声を中心に出せるようになります。
一般的に、男性は変声期を迎えることで声帯が長くなるので、声が低くなります。
生まれ持った声帯の長さにより、出せる音域もある程度決まります。
一般の人間が出せるようになる音域は、だいたい3オクターブと考えるのが妥当です。つまり、声帯が長ければ、低い音域を中心に3オクターブ出すことができ、 声帯が短ければ、高い音域を中心に3オクターブ出す事ができます。
声楽では、その人が出せる音域に合わせて、ソプラノ、アルト、テナー、バスに分類します。
余談ですが、ホイッスルボイスが出せれば、最高音域の壁を突破することができ、4オクターブを超える発声をする事が可能です。